床屋の掘った穴

何にでも手出しするオタクの独り言。

From Eroica with Love!

 昨日、いや日付的には今日なんですけども、その閲覧数が極端に低くて「みんな太宰は苦手か~……」と若干落ち込んでおる蛸です。要因は定かじゃありませんが。太宰駄目か~? 芥川賞を受賞した又吉の大好きな作家ですよ、いいですよ太宰は。

 

 それはさておき。

 

 毎日毎日悩むんですよね、次は何の本を紹介したらいいのかと。私もそう多くの本は読んでいないので、詰まってしまう。好きな本を何度も読み返し、一部を暗唱するようなことをしていますのでね。

 

 今日は漫画にしましょう。

エロイカより愛をこめて (1) (秋田文庫)

エロイカより愛をこめて (1) (秋田文庫)

 

  そう、エロイカです。所謂「昔の少女漫画」な絵で、最初はこれにしり込みする人もいるんじゃないでしょうか。というか私の友人がそうです。絵が古いから……って読んでもらえないんですよね。いやいや待ってくれよ、と。確かに絵は馴染みのない感じかもしれないが、話は深くていつになっても色褪せないものなんだって!

 時代は東西ドイツが存在していた頃。戦後、NATOKGBといった組織の活躍した時代。そう、冷戦時代です。

 主人公はエロイカことドリアン・レッド・グローリア伯爵。貴族様なんですけども、世界的に指名手配された大泥棒でございます。審美眼に優れ、美しいものが大好き。特に中世のヨーロッパ美術に凝っています。また美少年や美しい男性が好きで、女性には非好意的な一面も。ロマンで泥棒家業をやっているような、一癖も二癖もある人物です。

 そんな伯爵に毎度任務を邪魔されおかんむりなのが、NATOの万年少佐、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐。とても頑丈な身体を持ち、仕事熱心、部下にはとことん厳しく「鉄のクラウス」なんてあだ名を付けられています。無能な部下はアラスカ送りです、怖い怖い。腐れ縁なのか任務の先々に現れる伯爵のことは毛嫌いしていますが、時には手を組むことも。

 そんな二人を中心にしたどたばたスパイアクションコメディ、といったところでしょうか。なかなか硬派なんですよ、女性キャラが少なくて少女漫画とは思えませんし。

 なんせ武器の描写が細かい! 並大抵の漫画じゃないですよ情報量が! マグナム、ベレッタ、RPG……ネットの普及していない時代ですから、作者の青池先生の知識欲には舌を巻くばかり。武器に関しましては漫画の描写からファンのみなさんが割り出したりしています。昔っから特定班はいたんですね。こちらは「少佐通信」というファンの出した冊子に載っています。

 そうそう、この少佐通信もすごくて。なんとも国際色豊かなエロイカですが、それの一部をペルシャ語翻訳していたり。ファンの熱意に支えられた冊子です。13号がね、家にあるんです。母がファンで、コミケで買ってきてもらったそうで。

 

 ここまでしっかりと資料に裏づけされたスパイアクションも、まあなかなかないでしょうといったこの作品。ためしに一冊、読んでみませんか?

 少佐のかっこよさに痺れると思うんだよなー……