床屋の掘った穴

何にでも手出しするオタクの独り言。

喫煙所にて

 今日聞いた話で面白かったものを1つ。

 喫煙所では基本一人なもんで、人の話をぼーっと聞いていることが多いです。そんな中聞こえてきた話。

 

 親戚のおじさんが骨董品好きですごいお金をかけていて、中学生の自分には一切理解が出来なかった。そんな古いものに金をかけてどうするんだって思ってた。けどある日、家庭教師の大学生がしてくれた話があった。

 ウイスキーをロックで飲む、それも年代もの。とはいえそこは重要ではなくて、肝心なのは氷。ドラマなんかに出てきそうな、透明で丸いやつだ。その氷はなんと南極の氷で、水が凍ったのも気が遠くなる昔の話。そんな氷が溶けるたびに、気泡がはじける。その中に入っているのは、想像も及ばないような時代の空気だ。もちろん空気に匂いなんてないけれど、感じるものは十分にあった。

 そんな話を聞いてから、古いものに興味がわいた。自分の体験しなかった時代を過ごしたもの、その空気を現代に持ち込むものがそこにはある。特に古本に夢中になった。もちろん、内容にも。古い言葉遣いなんかも真似をした。本を読むことで、その時代の空気を感じられるような気がした。

 

 とまあこんな内容のことを話していた人達がいました。何でこんなに聞いてたんだって言うと、その間に煙草を数本消費していたからです。不健康。

 で。

 この話を聞いていて、色々忘れてたなあと思ったわけです。本を読むってのは、その中にある空気を感じることだったんだなあと。昔はその空気にどっぷり浸かっていたはずなのに、いつからそこまで没頭しなくなったっけなあとぼんやり考えていました。

 その人はこうも言っていました。

 

「何の本で読んだか忘れたけど、優れた本を読むことは昔の優れた者と対話をすることだ、見たいな言葉があって、すごく好きだ」

 

 対話かあ。

 いや、読書ってのは時間旅行も空間旅行も、さらには人との対話もさせてくれるんだなあとしみじみ。最近はゲームばっかりやってて忘れてましたね。

 暇だからって煙草吸いに行ってよかった。あの人の感受性や考え方が素敵なものでよかった。どこの学科の方かも存じませんが。

 しばらくは入試で休みなので、レポートの合間に本をなるべく読むようにしたいですね。