床屋の掘った穴

何にでも手出しするオタクの独り言。

感想文 サツジンカレシを読みました

 題名のセンスはほっといてください。毎日頭抱えてるんだ。

 実は京都のとらのあなって、土曜に初めて行きました。寺町の奥まったところで、小さいスペースのお店でした。

 Twitterで散々騒いでますけど、サツジンカレシを購入いたしまして。欲しかったので、京都のとらに置いてもらえたのはありがたかったです。

 今日はその感想を書こうかなと。

 てかワードで下書きしたんですよ。したんですけど、普通に乱文になりましたね。それを防ぐためだったのに、情熱が先走りすぎて知性が追いついてないです。

 

 長いので畳みます。もう、ホント全部が性癖にクる感じでした。合同誌なのですが、お二方のファンなので土曜からテンションがほぼ下がってないですね。今私のテンションを下げられるのは花粉だけですよ。

 

 

寿鉄平・寿桔平

 おっと“無邪気”に“邪”にまみれたことをする子だな? 皮を剥がれた側の視界もちょっぴり体験できるお話です、やったね(?)。

 していることが等身大のお人形で遊んだりそれの皮を剥いだりでなければ、障害を持ったお兄さんを献身的に支える良き弟の図なんですけどね。いや、確かに良き弟なんですけどね。連れて来るお人形もお兄さんの為にサイズも考えていますからね。

 それにしても桔平くんはとても可愛いですね。中身五歳の男の子ですもん。弟が大好きで、弟の真似をして皮を剥いで、弟とお揃いだって皮を指差すの本当にキュート。そして嬉しいよと笑う鉄平くんも可愛いですね。実は一回目読んだときに、鉄平くんが自分の顔を醜いと言っているのに首を傾げたのですが、プロフィールを見て納得。きれいはきたないきたないはきれい、なるほど。お兄さんの方を素敵だと思っているのかと頷いて、奇妙で閉じた世界に住んでいる子達なんだなあと。一般的に見れば鉄平くんは美少年に分類されるんでしょうけど、本人は真逆の捉え方なんですね。

 あと、平行して描かれる過去のシーンが印象的です。恐らく桔平くんが原因で拗れているであろう夫婦仲と、自分だけ歪に可愛がられる鉄平くんという図なんでしょう。この頃からすでに、きれいはきたなくてきたないはきれいだったんでしょうね、鉄平くん。仮面被ってるし。それもどうやら桔平くんが、親に顔を見たくないからと被せられたもの、もしくはそれに酷似した仮面を被っている様子。そしてその下にはらんらんと輝く瞳と笑顔。

 お母さん刺してるんだけどな!

 そして今も死体となった両親と一緒に暮らしている双子。皮肉なもんだなと思いますね。新しく作った仮面を、褒めてくれるよと見せに行く双子の息子たち。一般的に思い描かれそうな幸せ家族計画な1シーンですよ。多分両親もそういう家庭を妊娠中は思い描いていたことでしょう。それが実現されるのは、可愛がっていた方の息子に殺されて干からびた頃。いや、皮肉。旭さんの描かれるこういう“歪みが少し歪曲した形で見えるシーン”が好きです。なんと言いますか、世界丸ごと歪んでそうだな、みたいなのが透けて見えるシーンが。創作本の感想で言うのもなんですが、f/zキャスター本も最高でした。死んだお姉ちゃんと会話するとか。

 とにかくお揃いを喜ぶ双子がとても可愛いです。兄弟愛だなあ、血みどろだけど。

 

竜崎豪・桐生優太

 教科書かよ、という感じで竜崎さんが解体をレクチャーしてくれます。作者の大介さん、Twitterを拝見している限りですが猟関係の方と知り合いなんですかね? あと解剖? そういった知識が余すことなく発揮されているといった印象です。いつかこの知識使えるんじゃないか。

 この本の中では一番カレシシリーズっぽいなとも思います。丁寧に指導されている、とも読めます。彼氏の家に招かれてこんな説明されたら泣きますけどね!

 食べることを第一にした殺人というよりも屠殺といった現場。すごく手際がいい。牛相手にしてるみたい。もう女の身体が食材にしか見えませんね。立派な包丁によってばらされてパッキング……食材ですね。竜崎さんは人間も牛も豚も等しく食材と見ているようなので、見方としてはきっと食材が正解なんだこの漫画では。竜崎さん本人はおかしい事を自覚しているってのがまたいいですね。でも殺す、という選択をしているのかと思うと。

 竜崎さんは服装や体つき、目つきがモロ好みなので読んでいて非常に楽しかったです。三白眼最高。

 んでもって絵が下手な竜崎さん。私これこの前ア○トークで見たな? それをおずおずと指摘する優太くんも、ぱっと見は竜崎さんに懐いている甥っ子ぐらいなもんなんですけどね。ライフル持って「女に向けて撃ったら」とか言っちゃうんだもんなあ。うっとりした顔が可愛いからいいけど、いやよくないけど。痛めつけるのが好きで殺すのは目的じゃないのも面白い子だなと思いますね。力加減とか間違えてついうっかり殺しちゃった☆みたいな感じなんでしょうかね。現実に居たら非常に厄介だな。でも猟奇死体を見るのは好きじゃないみたいなので、ある種一般に近い完成を持っているのかもしれない……。まったくもって名が体を現さない優太くん……。

 

 

 

 このペースで書いてたらどれだけ長くなるのかわからないので短く抑えようと思います。駄目だ言いたいことが多すぎる。

 

 

和巳景楽・松本記知

エロ要素があるページだ……挿入された男根が書かれているページだ……とちょっとワクワクしました。ええ、しました。しかも景楽さんのいる部屋でズコバコして、おまけにザクザクしてたんだな、とさらに興奮しました。記知くん、恐るべき男です。

 でもってページ捲ったら何食わぬ顔でマンコ縫合してる景楽さんが出て来るんだもんなーーーーーー! この景楽さん、めっちゃ美人だな……美人が冷静にマンコ縫ってる……怖……

 しかもカレシシリーズなはずなのに記知くんと景楽さんできてるとかいうね、お互いがお互い大好きか、好き……そのせいでお互いの望むセックスが出来てないのもなんだかぐっとくるものがありますね。

 記知くんのタトゥーがセクシーというかえっちというか。ピアスもいっぱいで、フェロモン出てそうな具合がすごいです。

 とは言えこの話でもっともキたのは、景楽の「処女じゃない女性は全員魔女なんだ」ですね。親近感湧くな……と震えずにいられない台詞……普段から「初潮を迎えた少女は死ぬんだ」とか言ってるロリコンに妙な角度で刺さる台詞だったんですよ。分かる、なんか分かるよ景楽さん……そういうのってあるよね。

 それにしてもこの二人で受け攻め考えるの難しすぎるな……。強いて言うなら記知受けの方がいつもの好みに近いかな……とは思うものの、確実に景楽さんが勃たない……。難しいんでリバってことにしたい……つらい……

 

九条薫・望月浩太郎

 カフェで働いてそうな優男が女の子の手首取ってる……しかも先生先生ってハートマークつける勢いで懐いてる……尋常じゃない……

 九条先生は人間を実験動物としか見ていないような印象さえ与えてきますね。いいぞいいぞ……と内心拍手してます。そして望月くんをコケに例える比喩能力。

 それにしてもこの話も知識が使われているな、と感心しました。蜘蛛毒って。いい物を描くには知識がいるんですね。

 で、この話で好きなところなんですけど、九条先生が拘束を解いてやるといっているシーンですね。目がアップになるコマ。ここ。この、黒目が横に長くなるところ。ただでさえいい四白眼してるのに、いい表情を見せてくれて私は満足です。大介さんの描く、この笑った時にちょっと黒目が横に長くなるのがツボです。ゲス、って感じの顔。堪らんです。

 

玉瀬園六

 園六先生! この本での名前のあるキャラで一番好きです。アンニュイな年齢不詳、飄々とした語り口、車椅子、魅力詰まりすぎですね。しかも見世物として不具の子を製作させるという鬼の所業。人をこき使うのもまたうまいんだこの人。

 でも私が惚れたの、最後のページにいる双頭ちゃんなんですよね。右端の。もうめっちゃ可愛くないですかこの子、この子達? 1が購入できずに2を買ってしまったのですが、この子達名前あるんでしょうかね……二つ口あるけど喋るんですかね……この子達をじっくり見せてもらいたいです。可愛い。好き。

 

西園寺徹

 またしても無邪気な子だ。いい笑顔でビックリするくらい返り血でびしょびしょなんですよね。泥遊びしてきた幼稚園児みたい。しゃべり方が既にアホっぽくて、大型犬! って感じですね。

 コミカルな口調で、可愛らしく電話対応して、やっていることは恐らくこの本で一番えげつないという西園寺くん。生きたまま生皮を剥ぐという、地獄の獄卒でもそこまでやらんだろう……というようなことを電話をしながら軽くやってのける恐ろしい子です。

 しかもカッとなって殺しておいて、死んでるのなんでだろうって首を傾げてしまうのもまた頭の螺子がそこらに転がってそうでキュートです。

 譲り受けた骨なんかもおもちゃのようにしている23歳児。いやはや、可愛いんだか怖いんだか。どっちかって言うと可愛いが勝りますけど。

 

 他にも言いたいことはいっぱいあるんですけども!

 絵心無い殺人鬼たちの狂気の園とか、ぴいぴい泣いちゃう記知くんとか、生贄を見て楽しそうと静かに狂気を膨れ上がらせる殺人鬼軍団とか……字数がそれこそ大変になるので、もう後は読み返すたびにTwitterで言ってると思います。

 

 旭さん、大介さん、こんな素敵な本をありがとうございます。印刷時などトラブルもあったようですが……購入できて本当に幸せです。「楽しいこと」を、観客として楽しませていただきました。

 

 あとは、そう、この家を出て行くまで家族にいかに見つからないかを考えなければ。さすがにこの趣味は露見してないし、露見させるわけにもいかないので……LOよりは隠しやすいですけどね! あれ分厚いし!